写真を見ただけなら、天気が良くて道もキレイで、最高のブレード走行のように見えますが、じつは想いのほか路面が粗く、ずいぶん苦労したのです。
これは自転車にはちょうどいいかも知れませんが、ホイールの小さいインラインスケートには、細かな振動が直接足に響いて来て、正直、疲れました。
まあ、以前の、一般道を滑っていた頃のブレード隊にしてみれば、むしろ上等と言えるくらいのものなのですが、いかんせん、近年我々は、滑らかな路面に慣れ過ぎてしまっていたのです。特に昨年の印旛沼の路面がなかなか良かったので、その比較で、どうしても「ちょっと粗いなあ」と感じざるを得なかったのです。あと一見、舗装道路に見える、じつは「ウレタン道路?」が、滑りが止まって予想以上にキツかったです。
それと、例年のブレード隊のイメージからすると、若干人出が多過ぎた・・ ここはサイクリストには有名なコースだと言うこと、また、ランニングをする人も多く、ブレード隊は肩身の狭い想いをすることとなったわけです。
ただ一つ、どうも気になったことが有りまして、それは、ランニングをする人とすれ違う時に、彼らはまったく道を譲ろうとする気配が無かったことです。我々はずっと前(20年以上前?)から、出来るだけ他人様の迷惑にならぬようにとやって来まして、そう言う意識なので、この日ももちろん我々の方から先に道を譲りました。
しかしながら、そうは言っても、その中の1人くらいは「一瞬、道を譲るそぶり」くらいあってもいいんじゃないか?そう想ったのですが、そう言うランナーはただの1人もおらず、とにかく何の迷いも無く?一直線に我々に向かって迫って来るので、ずいぶん怖い想いをしたのです。
そんなにブレード隊はキラわれているのだろうか?とも想ったですが、歩行者に対しても同様の威圧的走りをしているので、ちょっとビックリしてしまいました。
ブレード隊のN隊員は、マラソン大会に出ることもある「ランナー」のお仲間でもあるので、彼らのことを擁護していましたが、このごろニュースなどで、皇居周辺で走るランナーが観光客と激突し、特に老人に大怪我をさせる事故が多発なんて話しを聞いていたので、「なるほど、ヤツらもこんな乱暴な感じなのだな」と、変に納得してしまいました。
かく言う自分も、かつては毎日最低5kmは走っていた「ランナーの端くれ」なのですが、走っている姿を見られること自体が恥ずかしいような時代で(ジョガーなんて言葉は無かったなあ)、とにかく道ゆく人々には遠慮し、道を譲りながら走ったもんです。
そんなマナー優先の走りを10年~15年も続けました。もちろんインラインスケートでも同じマナー優先の気持ちは変わらず滑ってますよ。そんな経験も有りながらの、あえて「現代のランナー」に呈する苦言はこれです。
「長距離走者は正義だ」と言う思い込みは捨てなさい!
経験上言えることですが、ブームになると必ず「にわか」が紛れ込んで来て、先人がせっかく作り上げたマナーやモラルを壊しまくるのです。こう言うのはホント、やめて欲しいですね。
たとえば今回の走行の最初の休憩の時ですが、初老の自転車乗りに話しかけられました。その人も若い時から走り始めたらしいのですが、最近のサイクリストのマナーの悪さに辟易していると言うのです。
「若くて速い自転車乗りは信号が赤でもまず止まらない、特にビンディングペダル使用の者は外すのが面倒なので、信号無視は当たり前になっている」と言う話し。
初老サイクリストの話し通り、確かに私もコスチュームをビッチリ決めたサイクリストが、信号をしっかり守っている姿はほとんど見たことが有りません。(もちろん稀にはいますけどね)
なぜこんなこと書くのかと言うと、我々がブレード走行を(ブレード隊を)始めるにあたり、どれほど慎重に細心に準備したかと言うことを、信号を守らないサイクリストにも、道を譲らないランナーにもアピールしておきたいと想ったからなのであります。(初老自転車乗りの憤慨も含めてありますよ?)
もともと私は、初めから「ローラー・スケートでの人力旅行」を目指していたので、一般道走行は必須でした。なので滑る前に、とにかく「他人に迷惑をかけない」「自分の身も守る」この二つを満たすため、法律もしっかり調べました。
道路交通法第76条(禁止行為)
「交通のひんぱんな道路において、
球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」
これが「ローラー・スケート」という単語が出て来る唯一の条項です。これを読んで「そらみろ、やっぱり禁止じゃないか」と想った人は多いと想いますが、よく読んでください。これは「交通のひんぱんな道路において」という条件付き禁止事項なのです。
なので、これを逆に解釈すれば「交通がひんぱんでない道路であれば行ってもよい」と言うことになるのです。さらに歩道や路側帯については何も記されていません。と言うことは「歩道や路側帯なら滑ってよい」という意味に解釈することも可能なのです。
「そんなの、ヘリクツだ!」と激怒する人もいるかも知れませんが、法律とはそう言うものなのです。たとえばテレビの法律相談なんか思い出してください。エラい弁護士先生によるヘリクツや深読みのオンパレードですよ。だからと言って軽く見たりはしませんが、そう言う法律のことを知った上で行動に移すか否かでは、状況が一変してしまうということを言いたいのです。
たとえば、キックボードが大流行した時にも、警察は、一般道での全面使用禁止にはしませんでした。あれも「第76条」が、全面禁止を謳った法律では無く適用が難しかった、と言うことのようです。
そこで警察は一つの見解を示しました。
「キックボードで車道を走ることは禁止、が、歩道では可能、ただし事故が起きた場合には、通常の交通事故として処理し、法律的に罰せられることもある」
(当時のTVニュースより)。つまり、キックボードの前例が示されたことで、自動的に、スケートにおいても同様の考え方が可能である、と言うことが、公になったのです。
自分が思うのには、たとえばスケートやスケボーを売るネットショップなどには、たいてい「これで公道を走行することは出来ません」のようなキャプションが付きます。(お店の善意なのかも知れません。また子供達を指導するには半端な説明ではややこしくなるからでしょう)。
どちらにしろ、こう言うお店的注釈によって「この手の物は全部、法律で禁じられているのだ」との思い込みを一般人に植え付けてしまったような気がします。
私が始めた時は、キックボードの前例の無い時代ではありましたが、自分なりの解釈をもとに、初の「一般道ブレード走行:八王子 ー 富士吉田」を決行しました。で、その途上で二台の白バイに遭遇したのですが、しかしお咎めは無く、「そこのローラースケート!、ガンバレ!」と拡声器で声をかけられただけで、そのまま通り過ぎて行ったのです。
励ましの声を貰ったことが意外で、少し拍子抜けもしましたが、この時、道路交通法第76条の説明通り、「路上スケートの全てが違反行為になるわけではない」と言うことがさらに確信に近いものになって行きました。
以来、一般道走行は10年間ほど続きました。その間、歩道・路側帯走行、信号待ちはもちろん、一時停止を守る、できるだけ交通量の少ない裏通りや農道を滑る、歩行者・自転車には道を譲るなど、可能な限り交通規則、交通マナーを守って来たつもりであります。
少なくとも、自分から避けること無く通行人に体当たりする皇居ランナーや、ながらスマホや両耳イヤホン、信号無視で歩道を猛スピードで走る自転車、・・なんてヤツらよりはずっと安全だった、それだけは自信を持って言えるのです。(どうしてもトイレが見つからない時、立ちションはしてしまったけど?)
もちろん順風満帆だったわけでなく、数回パトカーに止められたりもしましたが、そのつど警官と(あくまで穏やかに?)話し合いをしまして(例の「道路交通法第76条」の解釈についても出ました)、けっきょく彼らはみな最後には納得してくれました。
お巡りさんの中には、「個人的には冒険は好きで応援したいんだけど、職務上ひと声かけておく役目があるから」と説明してくれる人もおりまして、まあ、見慣れぬ怪しげな姿で滑っているので、それがどんな人物なのか、確かめる必要もあったと言うことでしょうか。
一見、我々「GOBLINSブレード隊」は、チャランポランで目障りなヤツらに見えるかも知れませんが(霞ヶ浦では車からゴミを投げつけられました。福島県では通行人にツバを吐きかけられましたが)じつは、こんな神経質なほどの準備をして、ようやくここまでたどり着いた小心者な?連中なのですよ。ですが、それが自分たちの自由を守る、唯一の方法であると言うことも信じておるのです。
自転車ブームが有り、マラソンブームが有り、道を譲らないランナーや信号を守らない自転車乗りが増えて来ましたが、「ブレード隊と違って、自分たちは最初から社会的公認を得ている正義だから」と、なんか思い上がってやしませんか?。
その驕りで、大きな事故や問題を起こせば、無くてもいいはずの細かすぎる法律や条例が作られて、最後にガンジガラメになるのは自分たちなんです。そしてその締め付けは、慎重に自由を守って来た我々ブレード隊にも、飛び火するかも知れないんですよ。
「マナーに反した無謀な行為が、最後に自分たちの自由を奪ってしまうのだ」
・・ちょっとだけ、その辺のことを考えてくれたらなあと、そう想ってしまうのです。
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